紀元前に建築されたこの橋には接着剤やセメント・鉄筋などは入っていません。レンガを円弧の形状に並べただけで
自重で強固に接着し、かつ上からの力は両端下で横と下を押す力に変わっています。
アーチ構造の原理
まっすぐな棒を水平に置いて荷重をかけると、点線のように曲がります。棒がアーチ状だったら、点線の方が短いので棒が圧縮されます。アーチ構造は荷重を圧縮力で支える構造です。 曲げると折れる棒でも、アーチ状なら圧縮だけになるので折れません
そもそも何故、アーチ構造にすると強固な構造になるか。
腑に落とすには実験で確信を持つしかありません
簡単な石橋作成
(参照:ほつま工房ホームページ)
アーチ構造の条件は
(1)形状が円弧
(2)下の両端を強固にして部材を嵌め殺しにする
昔の橋
1673年以前の橋
誰が考えても、川に柱を立て、柱の間に桁を乗せ。。と思うのが自然です。
この方法だと洪水の時、柱が流されて橋が流失する。 また、木材だと桁の長さが短く、たくさんの柱を川の中に立てる必要があり洪水に弱い | |
江戸時代初期、吉川家藩主、親子3代、約60年間考え、 柱を川に立てず、スパンが長く、強靭な条件を克服する構造とは? | |
天才的ひらめき |
約400年前
突然の閃きが生まれた
刎橋の特徴
両岸から添木をのばし頂上に桁を渡している。
スパンは延びるが、曲げの応力で耐えているので強度が弱い
(1)甲斐の猿橋
(参考)蟻の橋渡し
(2)加賀前田藩の愛本橋
(3)中国の刎橋
石造アーチ構造の特徴
円弧の形状にすると石材が強固に結びつき、圧縮耐力で強い
丸太を横にして上からの荷重を支えるのが桁(曲げ耐力)であるが、
丸太を縦にして上に荷重をかけるほう(圧縮耐力)が荷重に強い。
不思議なことに形状を円弧にすると、上からの荷重が圧縮耐力になる
円弧形状に材料を並べると、荷重は圧縮方向に働く。強い! 1970年以降の高度成長期につくられた大きな橋はこのアーチ構造が多い。 |
(1)長崎の眼鏡橋
但し、当時の石造アーチ構造はスパンが短く、横壁が洪水を堰きとめて流失することがあった
(2)アーチ構造の原理
(3)美術品
当時の神社仏閣には半円の庭橋があり美しいが、アーチ構造ではないため部分的にへしゃげて崩落する。
台形にポイントがある。上が広く下が狭い石をアーチ状に積み上げると、詰まって落ちません。アーチの内側は狭いので、重力で石どうしが圧縮されて摩擦力が増えます。
逆に、上が狭く下が広い石でアーチ状にすると、抜け落ちて崩れます。また、両端は嵌め殺しになるように強固に固定する必要がある
石材は僅かに下のほうが上より短い台形になっているので崩れない。
木造アーチ構造
刎構造とアーチ構造の長所をMIXした独特な構造を考案している。
刎構造
両側から1番桁〜11番桁を跳ね上げる
アーチ構造
頂上に大棟木(キーストーン)を打ちこみ、アーチ構造になる
大棟木を嵌め込む時、図面の高さり少し高くなるように大棟木を長めに切ります。 乾燥や木材の重量で下がってくると丁度よい高さになる。最終的に上過ぎず、下過ぎないような大棟木の 切り方が秘伝中の秘伝で、現在でも棟梁だけが知る口伝です。 江戸時代、錦帯橋の図面を持って帰りそのまま作っても成功しなかった事例がありますが、 この秘伝の寸法を知らないと図面通りに造っても下に落ち込みすぎて崩落します。
長崎の眼鏡橋は半円(180度)であるが、スパンが延びる円弧(60度)にしている
刎橋とアーチ構造の長所を取り入れている。
従来技術から飛躍的に進歩し、約400年前であるが
スパンが約35mと長く、約1000人乗っても大丈夫な強度がある
形状が円弧になると荷重が足元に伝わり強固な支えで潰れない。
刎橋とアーチ構造の長所を取り入れている。
広島空港大橋(ひろしまくうこうおおはし)は、広島県三原市本郷町にある道路橋である。 愛称広島スカイアーチ。2011年土木学会田中賞受賞。 2014年現在アーチ橋としては国内最長である。歩道がない自動車専用橋であり、 橋上での駐停車および歩行での見物は道路交通法上禁止されている。 2011年建造された広島空港大橋は錦帯橋と同じアーチ構造で、木材が鋼鉄になり、 アーチの上が歩道から車道になり、スパンが10倍になっています。 400年前の西湖の挿絵は島から島でしたが、現在は山から山に谷を跨いでいます