岩国市史　

沼・干潟・川跡・遠浅海の開墾

岩国徴古館　岩国市史編纂所　昭和32年(1957年）　編集　
第二部　藩政時代の岩国
第二編　経済
　　　第三章　農耕地の開拓

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第二節　麻里布地区の干拓

1600年初期の岩国　まりふうらは、海だった。

室木・今津ともに、山際まで海が迫り、平地はほとんど無かった。

幕末まで継続的に干拓を続けている

麻里布地区干拓の概観

最初に行われた干拓は、慶長十七年（1612年）松浦隠岐が奉行で室木の前縄・中縄・向縄、および今津の中開でであった。

二番目の干拓が大開作で、寛永元年（1624年）宇都宮杢之允が奉行になり室木の北大開・南大開、今津の上大開・中大開・下大開を行った。宝永六年（1709年）の見地では二十九町六反四畝で三百三十七石と記帳された。当時、今津川の河口付近に中州ができており、孫右衛門が開拓して孫右野と称していた。

大水によって孫右野の中央部が突破されて大部分が河川敷になっっており、元禄の藩営開作でこれを組み込んだ。
三回目の大規模干拓は、元禄元年（1688年）横道彦右衛門が奉行で、室木・今津の一の割、二の割、三の割、および横割・麻の口を順次干拓していった。正徳四年（1714年）の検地で、五十七町五反六畝、七百四十五石と記帳された

安永四年（1775年）宮庄主水が奉行で三の割前面に塩田開作が計画され堤防が築かれたが、安永六年（1777年）工事は中止になった。
次に香川舎人が奉行で文化三年(1806年）、麻里布新開作が約４０町歩塩田として開かれた。この時同時に飯田五左衛門および桂主馬が民間改作として各々三十町歩であった。
その次は今田造酒が奉行で、百八町歩の開作を行った。

装束地区に存在する干拓地は小瀬川河口の中洲であり、装束改作は十九町歩の広さがある。その前面に藩営で大規模干拓が行われたが、これは和木新開と称している。