中国の木造アーチ橋と日本の錦帯橋
講師 方氏 中国、北京大学建築学研究センター教授
岩国市役所主催 第二錦帯橋国際シンポジウム 、2010年11月14日 岩国観光ホテル
岩国市役所配布(2010年)、岩国中央図書館所蔵
(10〜28頁)
第一部 基調講演
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タイトル
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錦帯橋と中国のアーチ橋は見た目は似ていても、構造が違います。
(スライド1,2)
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約2000年前の橋の絵です。橋の下に柱があるのと、ないのがあります
(スライド3〜7)
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反橋の下に柱が多いのが長期間造られてきた。日本にもある。
(スライド8〜13)
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2000年前の木造橋は現存しないが、古絵や類似する現存の木造橋から推定できる。スライド16,17は両岸の頬杖を長くしている。
スライド19は有名な橋です。
(スライド14〜19)
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スライド20,21が外見的にも構造的にも錦帯橋に似ている。スライド20の橋は清の乾隆帝の時代1793年創建した。
スライド21は明の洪武帝の時代1368年、橋を創建したが平橋の為、水没とあります。写真の橋は名匠何氏兄弟が1919年建設した。
(スライド20〜24)
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スライド25のアーチ型石橋(605年)は中国ではよく見られる。大きな川を渡るにはスライド27(1917年)のような吊り橋が一般的です。
(スライド25〜30)
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スライド31は宋時代(960年〜1279年)の柱橋です。スライド34は錦帯橋が造られた時代に江戸の川に架けられた柱橋です
(スライド31〜35)
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スライド37は「清明上河図」に描かれた「虹橋」で北宋(960〜1127)末期、張擇端が描いて現在、北京故宮博物館が所蔵しています。
北宋の首都、東京開封府(現河南省開封市)に内外の人士が行楽して繁栄する様子を描いています。元、明と王朝が代わり開封の繁栄は消え去った
(スライド36〜40)
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スライド41は錦帯橋のように石の土台の上に橋を造っている。清の康熙帝47年(1708年)創建。
スライド42、43はスパン30mの木造橋で1794年創建だが、北宋の虹橋に形が似ている。
スライド44は現存する橋(1802年)の図面で、系統1、系統2の骨組みで支えている
(スライド41〜44)
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スライド45は北宋の虹橋の断面図で、スライド46は現存する橋の断面図で弧の高さが低くなっている。
錦帯橋と比較すると、外見は似ているが橋の構造物内の圧縮状態が異なっている。
日本大学伊東先生ご指摘のように中国の虹橋は木材の曲げの反発力で支えているが、錦帯橋は軸方向の強さで支えている。
(虹橋は丸太が折れまいと反発する力だが、錦帯橋は木材の束が柱のように中心軸で支えている)
(スライド45〜48)
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スライド50は7000年前の中国の組木技術で、スライド51は2400年前の木造構造組木技術です。高度に発達しています。
この技術はスライド52、53、54の建物に応用されており、橋にも使われています
(スライド49〜54)
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中国の古代人は石造構造を好まなかった。スライド56は地下の墓室のアーチ型石造構造である。
スライド57は約800年前、漢時代の石画で石造のアーチ橋が描かれている。
スライド58は約1000年前、遼時代のアーチ構造石造窓枠であるが技術的に欠陥があり亀裂が入っている。
(スライド55〜58)
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スライド59は15世紀、明の時代のお寺です。ヨーロッパ式のアーチ技術が取り入れられている。
中国では梁が大切である。スライド61は中国式木造アーチ構造であるが、曲げの力を受けている。
アーチ構造は本来圧縮力を受けるはずだが、曲げの力で支えている。
(スライド59〜61)
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スライド62,63は紀元前、後漢・前漢時代の石室である。ヨーロッパのアーチ構造に似ているが、梁を組合したもので構造が違う。
スライド64,65,66は唐、宋、金の時代の城門だが梁で支えている。
スライド67はヨーロッパの石造アーチ構造の城門(1342年)であるが、わざわざ、梁の形状を刻んでいる
(スライド62〜67)
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スライド68は明時代(1368〜1644年)の墓石で石のアーチを組んでいる。
スライド69,70は清時代(1644〜1912年)の石造橋の絵である。
スライド71は、梁思成(1901〜1972年)が設計した墓亭である
(スライド68〜72)
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スライド73は古代ローマ(紀元前)の石柱の絵で、スライド74は104〜105年の木の桁橋の絵です。
中国の古橋や錦帯橋とは構造が違う。スライド75は18世紀のイギリスの木製桁橋です。
スライド76は1850年、ベニスの木造アーチ橋で外見は錦帯橋に似ているが構造が違う。
スライド77はベニスにある木造アーチ橋で、中国の古橋と構造が似ているがスパンが短い。
(スライド73〜77)
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錦帯橋は、中国とヨーロッパの伝統的な技術を基礎にして新たに飛躍した、新しい創造物だ。
中国の古橋に外見は似ているが構造は違っており独自のものである。
(スライド78〜81)
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3000年前の橋はスライド83のような飛び石で、次にスライド84のような梁・桁橋になり、更にスライド85のように屋根が付いた。
近年ではスライド86のようにアーチ構造の鉄筋コンクリートになった。
(スライド82〜86)
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