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錦帯橋国際シンポジウムを終えて
熊本大学大学院教授 小林一郎
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世界遺産の旅
ヨーロッパ各地には至る所に世界遺産がある。
世界遺産の意義は、「自分のふるさとは世界に誇れる価値を持っているか」を世界に認知してもらうための、壮大な町おこし運動である。
観光客が増えすぎると、例えば、寒く静かな寺院で千年前僧侶と住民がひっそり暮らしていた環境が失われる。
ふるさとの価値を伝えながら、その価値を守る工夫が大事だ。
国際シンポジウムの準備
事前に渡仏して産業遺産に詳しい歴史家ギエルム先生にお会いした。価値は十分認識しているとのことであった。
次に科学技術史の専門家コット先生のご自宅に伺った。錦帯橋を世界遺産にするなら、まずスペインのビスカヤ橋の講演が
最適だろうとのご意見であった。
コット先生以外で招待するなら、アメリカがいいだろうと言うことになり3人候補があがった。今後も協力してくれそうな
エリック・デロニー氏に決めた。
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まとめ
今回の国際シンポジウムを振り返って印象に残った言葉が3つある
・完全性
・技術遺産
・普遍性
岩国市がやることは、
@木橋や木造建築に関する調査
A情報を整理・発信する部門の設置と資料館の充実
B大工だけでなく、市役所内で人材を育成(世界遺産、橋梁工学、外国語、外国通などに詳しい人)
そして、市民を巻き込んだ息の長い町おこし運動を展開することが大切だ
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