究極の名橋 錦帯橋
第一章 第2節
岩国の町割り
岩国徴古館 松岡智訓 著作 その2 11頁
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1. 岩国城下町の成立過程と特徴
(1) 吉川氏の岩国移封
関が原の戦の2ヵ月後、毛利氏の領地(周防・長門29万8480石)から3万石を分知された。 翌年の1601年8月に岩国に入った吉川広家は年内に都市計画を練り、翌1602年より実施した。 中国路(山陽道)に近く、錦川と城山に囲まれた自然の要害である横山を城地に選んだ。 古くは大内氏が横山に永興寺を置き出兵の拠点にしていた。また、祖父の毛利元就は大内攻めのとき横山を拠点にしていた。
(2)吉川氏の城地選定について
交通の要所を押さえ、かつ統治上必要な機能を配置する都市計画構想が練られた。 -
軍事要塞
当時は、関が原の戦の後も戦争が予感されており、防御態勢を築くのが最優先であった。横山は最適地であったが、 平地面積が狭いため、統治機能の集約や家臣団の住居や置く事ができず、城下町の機能を錦見、川西、今津などに分散配置する事になった 大半の家臣が暮らす錦見と横山との間には錦川が流れており、ここに橋を架けてこそ、城下町が完成する
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2. 各地区の概要
(1)岩国城と城下町の成立過程
初代藩主、吉川広家の計画は城山山頂に要害を築き、山裾の横山に領主の居館である御土居を築き、。 横山に諸役所と上級武士の屋敷を置き、対岸の錦見に中級・下級武士の屋敷地を置く計画であった。
1603年から山頂に城を築き始め1608年に完成し、森脇飛騨守らに城番を命じた。 しかし、1615年、一国一城令が出たことにより毛利輝元から岩国城を破壊するようにと伝えられ破棄した。 当初計画からの誤算はあったが、都市計画は着々と実行された。 -
(2)岩国城(山頂の要害)
本丸を中心に、北側に北の丸、南側に二の丸、西側に水の手の郭群があった。 また出入り口は防御の固い枡形虎口構造であった。
(3)横山
1309年、横山に大内氏が永興寺を建立してから、永興寺は安芸・京都方面に出兵する時の拠点であった。 吉川広家は永興寺の既存の建造物を解体して、代わりに諸役所や上級武士の役所を建設した。 錦川沿いに土手を築き、千石原方面に上口門、万谷方面に下口門、中央に乗越門を置き、錦見と渡し船で結んだ -
3面に堀をめぐらし、3箇所に矢倉を置くなど防御機能は十分に備えていた。
主要な建物は表御殿、納戸、裏御殿である。御用所は隣接して建っており、御蔵元から提出された議案を審議するところである。
納戸は領主が日常生活を行う場所で、裏御殿が領主の家族・子女の居所であった。
(4) 錦見
吉川広家が入封した時、錦見は錦川の流れが三筋になって氾濫を繰り返す原野であった。 山際に川を掘り、鳴子岩懸口から20町17間(約2.2km)の総土手を築いて川の流れを1本に絞った。 これで錦見の屋敷用地を確保し、乗越口からまっすぐ大明小路を設けて其の両側に中級武士の屋敷を構えた。 - 大明小路の南北二筋は町屋をあて、本町、玖珂町、柳井町、米屋町、塩町、材木町、魚町、豆腐町とした。 1654年、大火で229軒が消失したため再度、町割を行い、これが現在まで続いている。 錦見は岩国城下町の中心地域であり、吉川氏家臣団の大半の居住区になっている。
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(5) 川西
中国路(山陽道)から城下町に入る脇道が通っており、下級武士の屋敷や上級武士の下屋敷(別邸)などが置かれた。
(6) 今津
平地の少ない地域だったが、開作により平地が広がってきた。 川寄に水軍である御船手組の屋敷をおき、御茶屋、萩蔵、川口番所、舟入などをおいた。 錦川上流の特産品である和紙を集め、今津から大阪に送った。 -
3.吉川氏と土木技術
(1) 吉川氏と土木技術の歴史
吉川氏と河川工事のかかわりは古い。1250年、鎌倉幕府は京都二条にあった閑院内裏の造営にあたり御家人に建設を課役として担当させた。 吉河三郎は、河の堰をを担当している。 また、1596年、豊臣秀吉の命で諸大名が淀川の堤防築造を行った。このとき吉川広家は右岸の山崎付近4000間を造営した。 -
石垣については、北広島の吉川元春館や今田氏城館跡などの遺構から吉川氏の石垣技術を知ることができる。
そのほか、朝鮮出兵で、朝鮮に東菜倭城や固城倭城を築き実戦で使われている。
表1.2-1は江戸初期における吉川氏の課役・軍役である。江戸城本丸の石垣工事まで行っており、当時としては国内的にも
周知されていたようだ。
(2)手伝普請
徳川政権は豊臣政権と同じように江戸城、駿府城、名古屋城、高田城等への普請の手伝いを課した。 また、利根川、荒川の復旧工事の手伝いなどを行った。 -
(3)吉川氏の技術者登用
(4)吉川氏の技術力
土木技術の積み上げと、技術者の積極的な登用で日本屈指のものであった。錦帯橋はそれを裏付ける遺産である。 - (参考文献)
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