究極の名橋 錦帯橋
第三章 錦帯橋と木造文化
第2節 錦帯橋の独自技術
東京大学生産技術研究所 腰原幹夫 その7 8頁
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第2節 錦帯橋の独自技術
1.錦帯橋の構造システム
注目すべきは3つある
@アーチ形状
A組立部材
B斜材(鞍木、振れ止め)
2.アーチ形状
(1)単材による曲線 -
(2)複数の直線材による曲線
(3)幾何学 -
錦帯橋創建(1673年)のあと、1788年に出版された方圓順度の本には反橋のスパン・高さなどを算出する方法が記載されている。
錦帯橋の原図には幾何学で重要な点に基点としたへらの跡が残っており、アーチの原理を理解して作図した
可能性が高い
但し、創建当時は軍事機密の秘伝であろう (4)図面、型板、陸組
・図面
錦帯橋の図面は12枚残されているが、アーチ形状を描く幾何学的な図面は無い。最終的なスパン・高さなどしか書いてない
・型板
作業する上で重要な切りこみ、鎹(かすがい)打ち込み位置、寸法、柄の位置など詳細な加工寸法が表記されている
・陸組
現場で組み上げる前に陸で、仮組み上げして最終調整している。
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(5)錦帯橋のアーチ形状
元禄図には反橋の反高、桝高が併記されており、これを基に曲線の半径を求めると、第2橋が137.0尺、第3橋が132尺、 第4橋が140.5尺である。第3橋の132尺は橋脚の中心線間の距離と等しい。 つまり、ピッタリ正三角形であり、創建時の棟梁がアーチ構造を理解していたと考えられる。 第2橋、第4橋は高さを抑えるため半径を長くして円弧を切り取ったようである。 、 -
3.組立部材
錦帯橋の部材には特徴がある。6寸角の直線部材を組み合わせて1m以上の幅がある桁を構築している。 伝統木造建築でも大断面の部材が入手できない場合には集成材を使っている
(1)古代出雲大社(12世紀頃)
1.35mの材を3本束ねた柱が、2000年境内の地中から見つかった
(2)大仏殿
1709年に再建された東大寺大仏殿は集成材が採用されている
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(3)松江城
松江城の天主では寄木柱が使われている。 松の柱の周辺に板を揃えて寄せ合わせ、これを金輪で締め付けて太い柱を構成している。
(4)錦帯橋の組立材
梁に集成材を用いるのは力学的に無理であるが、アーチ構造であれば垂直の柱のように軸力で支えるので集成材でも問題ない。 アーチの応力線上に並べた助木の配置は、アーチ構造の力の流れを正確に理解していたと考える -
4 斜材(鞍木、振れ止め)
伝統木造建築は水平・垂直が好まれており、錦帯橋の斜材である「鞍木」は独特である。 架け替え時の振動実験では歩行時の振動防止と補剛効果が確認できた
×形状の「振れ止め」は水平剛力を高め、橋直角方向の水平力に抵抗する重要な機能を持つ。しかし、 古来よりの和式建築では筋かいのような斜材は好まれておらず、構造的な合理性を優先して部材が構成されており 独特の姿をする事になったのであろう。 -
5.他分野の木造技術
創建時の「米銀算用書」を見ると、番匠、木挽、杣(領主が保有する山で、伐採や製材に精通した人々がいる)、船大工などが見られる。 船大工の知恵も盛り込んでいるようだ。BR>
参考文献
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